21世紀COEプログラム「動的機能機械システムの数理モデルと設計論」

第9回社会連携セミナー
および京機会関東支部SOE

本セミナーでは,昨年度より,21世紀COEプログラム「動的機能機械システムの数理モデルと設計論」に於ける社会連携活動の一環として,複雑系機械工学と先端技術についての講座を開講して参りました.今年度のCOE, SOEセミナーでは,毎回,あるテーマを掲げ,大学・産業界からの研究紹介に加え,より広く社会を展望した産学での共通の問題を議論し意見交換をさせていただく機会として企画を進めて参りたいと考えております.

第9回の京都大学21世紀COEセミナーとして,以下のようなテーマを企画致しました.皆さまの積極的なご参加をお願い申し上げます.

テーマ:『複雑系機械材料学』

なお,講演会終了後,下記のSOE(Salon of Excellence)も開催いたします.

参加希望者は,京機会ホームページ内,会合受付にて,COEおよびSOE,それぞれに出欠他,必要事項を必ず記入の上,申し込み願います.なお,卒業生以外の方は,卒業年次は「その他」を選択下さい.また,COEの参加者名簿は Web で閲覧できますが,SOEはできません.


第9回社会連携セミナー

開催概要

日時: 2005年11月19日(土) 13:30〜17:00
場所: 学士会館
東京都千代田区神田錦町3-28 TEL:03-3292-5931
http://www.gakushikai.or.jp/facilities/
参加費: 無料
申込締切: 2005年11月11日(金)

プログラム

1.「粉末粒子材料の複雑挙動の解析」(13:30-14:20)

京都大学大学院工学研究科マイクロエンジニアリング専攻 講師 津守 不二夫

粉末材料は固体的・液体的,両方の挙動を示す.このような挙動については工学のみならず,化学や薬学におけるプロセス開発においても非常に重視されている.また,土木業関連における土砂の流れ,畜産業における飼料の運搬においても従来より深い理解が必要とされている.このような粉末の挙動を理解する助けとして,粒子個別要素法(Discrete Element Method: DEM)が計算機の機能向上と共に発展してきた.この手法は粉末を構成する粒子一個一個の動きを厳密に評価することにより粉末全体の挙動を再現するものである.個々の粒子の挙動は非常に単純である.しかし,粒子の相互作用の微妙なパラメータの違いにより粉末の挙動は大きく変化する.単純な要素が系の全体挙動を支配し,その結果は非常に複雑なものとなる.

本講演では,まず,粉末プロセスについて紹介し,粒子個別要素法を用いた解析例を紹介する.この中では単純な粒子の流動に関するものから,磁場中での磁性粒子の動きのシミュレーションといった応用例まで取り上げる予定である.

2.「微小低次元構造体の界面破壊」(14:30-15:20)

京都大学大学院工学研究科マイクロエンジニアリング専攻 助手 平方 寛之

微小材料は膜・線・点の低次元構造を有し,マクロな材料とは異なる物性を示 します.低次元材料を組合せることによって,MEMS や LSI のような多様な機能を発現する微小構造物を創ることができます.しかし,材料の組合せによって生じる異材界面には原子構造の不整合があり,変形特性のミスマッチが大きいため複雑な破壊が進行する箇所でもあります.私たちは,最小寸法がサブミクロンからナノメートルオーダーの低次元構造体の界面破壊を支配する力学法則の解明を目的として,評価実験方法の開発ならびにそれに基づく力学解析を行っています.本講演では,典型的な低次元構造を有する微小構造体の界面強度評価例を紹介するとともに,界面破壊過程のその場観察実験に関する最近の成果についても報告します.

3.「機械技術の活用による熱間エンドレス圧延技術の開発」(15:40-16:30)

JFE技研株式会社 機械研究部 部長 北浜 正法

鉄鋼プロセスにおいては極限の生産性を追求しており,プロセスの連続化が志向されている.製鋼分野では造塊法から連続鋳造法によるスラブの製造,冷間圧延分野では前後コイルの溶接による完全連続圧延が早くから実現されていた.しかし熱間圧延においては,温度低下を防止するために大断面の材料を短時間で接合する必要があり,強い要望がありながら長く実現されていなかったが,1995年に稼動したJFEスチール千葉第三熱間圧延工場において,技術者の長年の夢であった熱間エンドレス圧延が実現された.本報告では実現のためのポイントとなった技術と機械技術との関わりを述べ,大規模複雑系プロセスでの新規技術開発例を紹介する.

4.総合討論(16:30-17:00)

総合討論では,上記の各講演での関連テーマについて議論を重ねて参ります.とりわけ,日本製造業において複雑流体に関係した話題等を提供していただくとともに,近年の機械系からの学生の就職事情に鑑みながら,今後の大学教育と企業の取り組みについてご参加の方々との自由な意見交換が出来る場になればと考えております.


京機会関東支部SOE(Salon of Excellence)

京機会関東支部では,会員が気楽に楽しみながら情報交換や人脈形成をはかる場をつくることになりました.幅広い見識を持って,国内外に影響力を行使しうる次世代人材の発掘と育成を図るのが趣旨です.技術のみならず,多様なジャンルにわたる幅広い見識の涵養をねらいとした会合です.今回は,COEセミナー終了後,同会場にて立食形式で講師も交えて,講演の内容や産学共同等の内容で自由に意見交換を行いたいと考えておりますので,奮ってご参加戴くように御願い申し上げます.お時間の都合でCOEセミナーにご参加できない方で,SOEのみご参加される方も歓迎いたします.

日時: 2005年11月19日(土) 17:00〜19:00
場所: 学士会館
東京都千代田区神田錦町3-28 TEL:03-3292-5931
http://www.gakushikai.or.jp/facilities/
参加費: ¥4,000
申込締切: 2005年11月11日(金)

問い合わせ先


京都大学大学院 工学研究科 機械理工学専攻 マイクロエンジニアリング専攻 航空宇宙工学専攻
情報学研究科 複雑系科学専攻
京都大学 国際融合創造センター
拠点リーダー 土屋和雄(工学研究科・航空宇宙工学専攻)
本拠点に関するお問合せは 拠点事務局 まで