岩渕 弘信 博士 特別講演会

日時: 2007年10月19日(金) 15:00〜
場所: 京都大学 工学部物理系校舎 2F階 211会議室
講演者: 岩渕 弘信 博士((独)海洋研究開発機構・地球環境フロンティア研究センター・研究員)
講演題目: 曇天大気の光環境シミュレーションと3次元放射効果
Simulations of the light environment in cloudy atmospheres and the 3D radiative effects
講演要旨: 従来の気候予測・気象予報モデルでは鉛直一次元の放射伝達モデルが放射収支計算に使われており,上下方向の光伝達しか考慮されていない。これまで特に雲に関しては一般にその形態が不均質であることから水平方向の放射伝達も考慮した3次元放射効果が重要であることが指摘されている。3次元放射効果を数値モデルに取り込むには,何らかの簡略化したパラーメータ化スキームあるいは計算効率の良い3次元放射モデルが必要である。そこで曇天大気における太陽放射および赤外熱放射の収支を精密にシミュレートするモデルを開発した。このモデルの特徴は一般的に不均質な地球大気における3次元の放射伝達を厳密に扱うという点である。これを用いて現実的な雲場における3次元放射伝達と(従来の)鉛直1次元放射伝達の放射収支を比較することで放射加熱/冷却に対する3次元放射の効果を調べた。結果として10〜100km程度の大きい空間スケールで平均すると3次元放射効果は小さいが,100m〜1kmの空間スケールでは大きいことがわかった。このような局所的な放射加熱/冷却の違いが雲の発達/消散の力学過程と相互作用する可能性が示唆された。発表では森林群落における光合成に対する影響など関連するトピックと現状の問題点を含めて話す予定である。

京都大学大学院 工学研究科 機械理工学専攻 マイクロエンジニアリング専攻 航空宇宙工学専攻
情報学研究科 複雑系科学専攻
京都大学 国際融合創造センター
拠点リーダー 椹木哲夫(工学研究科・機械理工学専攻)
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